・K社との出会い
早速翌日弁護士事務所へ伺い、K社の内容を見ました。
売上十数億、従業員40人、業歴も60年以上の伝統ある中堅会社でした。
まずはK社の決算書を時系列で並べてみますと、数年に渡り赤字続きで毎年多額の預金が減少していました。
直感的にこのままの経営では危ないと思いながら、1週間後にK社のK会長と会いました。
K会長は先代社長のご主人が亡くなり、
後を引き継いだ70才くらいの上品な奥様
でした。
社長はご子息が就任されていました。
会長より財務調査、経営再建策の
提案を依頼され、早速当時の財務責任者
N専務にヒアリングしました。
N専務はあるメインバンクである大手銀行から転籍した元銀行員です。
まず、一番大事な資金繰り予定表を見せて欲しいと依頼しました。
ところが、その回答は「ない」との
ことなのです。
私は驚きました。元銀行員でありながら、最も重要な経営資料である資金繰り予定表を作成していないのです。
仕方ないので私は自分で資金繰り予定表を作成し今後半年間の資金繰りを予測しました。
すると、大変なことが判明しました
何と3か月後に資金がショートすることが明らかになったのです。
赤字続きのためメインバンクからの追加
融資は望めません。
私は焦りました。
私は急ぎこの状況をレポートにまとめ、
K会長に報告しました。
するとK会長はこう言ったのです。
「先生役員として、会社の現状を改革していただけないでしょうか」
何とまだお会いして1ヶ月も経たない私に経営の舵取りを任せるというのです。
・取締役就任
私は突然のことでもあり、重責のため
しばらく考えさせて欲しいと回答しました。
その後親しい人数人に相談しましたが、
皆重責とリスクが大きいため取締役就任には反対しました。
しかし、私は事業再生への思いもあり、
また単なるアドバイザーで終わりたくないという気持ちがありました。
何よりお会いして間もない私に任せると
言っていただいたK会長の大きな人間力に打たれお引き受けすることにし、
N専務には退任いただき、専務取締役に
就任しました。
就任後メインバンクにご挨拶に行ったところ、副支店長が応対し
「どうか伝統を重んじた経営をして下さい」
と言われました。
これまでの経緯を全く把握していなかったのです。
私はこれまでの経緯と業績を大声で伝えたように思います。
副支店長は消え入りそうな声になっていました。
やはり結果的にはメインバンクからの追加融資はできませんでしたが
たまたま会計事務所のコンサルタントの
紹介である銀行から何とか4000万円の融資をしていただけることになりました。
これでまずは資金ショートを免れることができたのです。
しかし、K社の赤字体質は変わりません。
私はすべての経費を見直し大幅な削減を実施しました。
無駄な経費が多額にあったのです。
給与についてはまだ従業員の評価も
分からないため一律10%をカットしました。再建に時間的余裕がなかったからですが、今考えると随分無茶に思います。
大分退職者が出ると思ってましたが、
不思議と誰もいませんでした。
(若干のリストラはありましたが)
次に、営業 管理部門別に
人事考課表をつくり人事考課を行い
給与を決定することにしました。
頑張った人が給与に反映されるしくみを
作ったのです。
拙速な改革でしたが、その結果は業績に反映してきました。
そして、私が専務に就任してはじめての決算でわずかながら数年ぶりに黒字を達成したのです。
ところが初めてK会長とお会いして一年後、K会長は肝臓の病気のために入院されることになりました。
私は定期的に病院にお見舞いに行き、
業務報告をしていたのですが、
私が帰るとき、手を合わせながら
「先生後はお願いします」と毎回
私に向かい拝むのです。
私はそのたびに必ずK社を再建発展させると固く心に誓いました。
・再建
専務就任2期目以降に入ると、営業本部、業務、総務部門全社員の頑張りで売上、業績が伸びて来ましたので本格的な経営改革に取り組みました。
当時営業所、倉庫などの賃借料大きく
それが損益を圧迫していました。
そこで賃借物件を購入して自社物件とする財務改革を行ったのです。
黒字転換で業績も伸び始めましたので
銀行も融資を再開しました。
計3物件を賃借から自社物件に切り替えることができ、購入資金の借入返済・利息は賃借料と同額にしてキャッシュフローは変わらないように調整しました。
その分賃借料が経費から除外され利益増加、銀行の与信も高まるというプラスの
サイクルができたのです。
その他営業方針、組織についても改革を行いました。
この財務改革に着手した平成27年4月23日K会長が逝去されました。
最後に会社の業績が黒字転換し向上してることを報告できたので少しばかりの恩返しが出来たのではないかと思います。
葬儀では生前のご人望が偲ばれたくさんの方にご参列いただきました。
私も葬儀委員長として最後の別れをしました。
K社にとりかけがえのないK会長を亡くしましたが、業績については
おかげ様で私の専務就任以降毎期増収増益を達成できました。
これもひとえに経営改革にご協力いただいたK社長、および従業員の能力対応力の高さ、取引先様のご支援に寄るものだと感謝しております。
K社は新たな中期経営目標を策定し
更なる成長発展に向かい邁進しています。
ここまでは著書に記載してますが、ここからは新たな記載です。
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